記事番号: 1-394
公開日 2025年03月01日
1 背景
地球温暖化問題は、その予想される影響の大きさや深刻さから見て、人類の生存基盤に関わる安全保障の問題と認識されており、最も重要な環境問題の一つとされています。既に世界的にも平均気温の上昇、雪氷の融解、海面水位の上昇が観測されています。
このような中、2015年(平成27年)11月から12月にかけて、フランス・パリにおいて、COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)が開催され、京都議定書以来18年ぶりの新たな法的拘束力のある国際的な合意文書となるパリ協定が採択されました。合意に至ったパリ協定は、国際条約として初めて「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること」が掲げられました。
国内においては、2021年(令和3年)10月には、地球温暖化対策計画の閣議決定がなされ、その改定された地球温暖化対策計画では、2050年(令和32年)カーボンニュートラルの実現に向けて気候変動対策を着実に推進していくこと、中期目標として、2030年度(令和12年度)において、温室効果ガスを2013年度(平成25年度)から46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていくという新たな削減目標も示され、2030年度(令和12年度)目標の裏付けとなる対策・施策を記載した目標実現への道筋を描いています。
また、2021年(令和3年)10月には、政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の削減等のため実行すべき措置について定める計画(政府実行計画)の改定も行われました。温室効果ガス排出削減目標を2030年度(令和12年度)までに50%削減(2013年度(平成25年度)比)に見直し、その目標達成に向け、太陽光発電の導入、新築建築物のZEB化、電動車の導入、LED照明の導入、再生可能エネルギー電力調達等について、政府自らが率先して実行する方針が示されました。また、地球温暖化対策計画において、事務事業編に関する取組は、政府実行計画に準じて取り組むこととされています。
2 基本的事項
(1)目的
黒川地域行政事務組合地方公共団体実行計画(事務事業編)(以下「組合事務事業編」という。)は、地球温暖化対策の推進に関する法律(以下「地球温暖化対策推進法」という。)第21条第1項に基づき、地球温暖化対策計画に即して、黒川地域行政事務組合(以下「組合」という。)が実施している事務及び事業に関し、省エネルギー・省資源、廃棄物の減量化などの取組を推進し、温室効果ガスの排出量を削減することを目的として策定するものです。
(2) 対象とする範囲
組合事務事業編の対象範囲は、組合の全ての事務事業とします。
(3) 対象とする温室効果ガス
計画の対象とする温室効果ガスは、地球温暖化対策推進法第2条第3項に掲げる7種類の物質のうち、本組合の事務事業により排出される4種類(二酸化炭素/メタン/一酸化二窒素/ハイドロフルオロカーボン)を対象とします。
また、暫定措置として発生量が少ないことや活動量の把握が困難であることから自動車の走行/麻酔剤(笑気ガス)の使用は対象外とする。
種類 |
主な発生源 |
---|---|
二酸化炭素(CO₂) |
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メタン(CH₄) |
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一酸化二窒素(N₂O) |
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ハイドロフルオロカーボン(HFC) |
カーエアコンの使用及び廃棄 |
パーフルオロカーボン(PFC) |
該当なし |
六フッ化硫黄(SF6) |
該当なし |
(4) 計画期間
実行計画の期間は、2025年度(令和7年度)からとし、終期は国の地球温暖化対策計画に即し2030年度末(令和12年度末)までとします。基準年度は、2022年度(令和4年度末)とします。実施状況や技術の進歩、社会情勢の変化が大きい場合は、必要に応じて、その都度見直しを行うこととする。また、計画期間終了翌年の2031年度(令和13年度)には、計画の総括を行い公表するものとします。
(5) 上位計画及び関連計画との位置付け
組合事務事業編は、地球温暖化対策推進法第21条第1項に基づく地方公共団体実行計画として策定します。また、地球温暖化対策計画及び組合の公共施設等総合管理計画に即して策定します。
3 温室効果ガスの排出状況
(1) 温室効果ガス総排出量
組合の事務・事業に伴う「温室効果ガス総排出量」は、基準年度である2022年度(令和4年度)において、13,874t-CO2となっています。
施設別では、環境管理センターが全体の71%を占め、次いで公立黒川病院20%、この2施設で91%となり大部分を占める結果となっています。
また、活動の種別では、一般廃棄物が全体の60%を占め、次いで電気の使用24%、燃料の使用15%、となっています。
4 温室効果ガスの排出削減目標
(1) 目標設定の考え方
政府実行計画等を踏まえて、組合の事務・事業に伴う温室効果ガスの排出削減目標を設定します。
目標設定 2013年(平成25年度)50%
按分50%/(2030-2013)×(2030-2022)=約 24%
(2) 温室効果ガスの削減目標
目標年度 2030年度(令和12年度)に、基準年度 2022年度(令和4年度)比で24%削減することを目標とします。
5 目標達成に向けた取組
(1) 取組の基本方針
温室効果ガスの排出要因である、一般廃棄物(ごみ)の発生抑制と電気使用量と灯油/重油/ガソリンなどの燃料使用量の削減を重点的に取り組みます。
(2) 具体的な取組内容
(A)庁舎等の建設/大規模修繕/設備等更新時に関する取組
分類 |
取組項目 |
削減効果 |
ボイラー/温水設備 |
・エネルギー消費効率の高い熱源機への更新を検討、推進する。 ・ポンプの可変流量制御システムの導入を検討、推進する。 |
・電気使用量の削減 ・燃料使用量の削減 |
空調/換気設備 |
・可変風量制御システムの導入検討、推進する。 ・エネルギー消費効率の高い空調機設備への更新を検討、推進する。 |
|
給排水設備 |
・節水型器具/自動水栓/自動洗浄装置の導入 |
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電気設備 |
・エネルギー損失の少ない電気設備への更新 ・太陽光発電設備の導入検討 |
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照明設備 |
・人感センサーの導入 ・LED照明への更新、調光システムの導入 |
|
建築物 |
・熱線吸収ガラス ・熱線反射ガラス等の高断熱ガラス ・二重サッシの導入 ・ルーバー/庇の設置 |
(B)各業務・施設設備・施設維持等の運用管理等に関する取組
分類 |
取組項目 |
削減効果 |
共通 |
・気温等において適した服装を選択し、冷暖房温 度を適切に設定する。 ・事務機器等は、不使用時には節電モードへの切り替えや、スイッチを切る。 ・各種設備のフィルター/オイルの清掃交換 |
・電気使用量の削減 ・燃料使用量の削減 |
ボイラー温水設備 |
・冷温水出口温度の適正化、冷却水設定温度の適正化 ・燃焼設備(ボイラー等)の空気比の適正化 |
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空調/換気設備 |
・空調設定温度 ・使用されていない部屋の空調停止 |
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給排水設備 |
・給湯温度/循環水量の適正化 |
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照明設備 |
・照明を利用していない場所及び時間帯におけるこまめな消灯 |
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昇降機(エレベータ ー等) |
・利用の少ない時間帯における昇降機(エレベーター等)の一部停止 |
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建築物 |
・カーテンやブラインドの活用 ・緑のカーテンの設置 |
(C)物品等の調達/使用等に関する取組
ア 物品等の調達
配慮項目 |
取組項目 |
削減効果 |
環境物品等の調達の推進 |
・環境ラベル(エコマーク、グリーンマーク等)が付されている商品を優先して購入 ・事務機器等/電気製品の更新や調達に当たっては、エネルギー消費効率の高い機器を選択する。 ・低公害車、低排出ガス国土交通大臣認定車かつ低燃費車の導入の検討 |
・電気使用量の削減 ・燃料使用量の削減 |
イ 物品等の使用
配慮項目 |
取組項目 |
削減効果 |
公用車の使用時配慮 |
・長時間のアイドリングや急発進/急ブレーキ等をやめ、エコドライブを努めるよう教育する。 |
・燃料使用量の削減 |
用紙類の使用量の抑制 |
・会議資料/印刷物は必要最小限の部数を作成する。 ・会議資料の簡素化(ワンペーパー化)を図る。 ・両面コピーを行う。 ・片面使用済み用紙やミスコピー用紙の裏面の有効利用(内部回覧用資料のコピー用紙に使用等)を図る。 ・使用済み封筒を再利用し、交換便等に活用する。 |
・ごみ排出量の削減 (一般廃棄物の焼却 量の削減) |
リサイクルの推進 |
・排出されたごみは、分別を徹底し、資源化を図る。 ・資源回収ボックスの設置による分別/資源化を徹底 する。 ・コピー機やプリンタのトナーカートリッジは、業者による回収を徹底する。 |
(D)ごみの発生抑制、再使用の推進に関する取組
分類 |
取組項目 |
削減効果 |
生活系ごみ減量化のための施策 |
・紙類の分別の促進 家庭から出される古紙/紙パック以外の紙類を「雑がみ」として分別収集の徹底をはかり、ごみの減量化と再資源化率の向上をさせる。 ・生活系ごみの有料化の検討 |
・ごみ排出量の削減 (一般廃棄物の焼却量の削減) |
事業系ごみの減量化 |
・事業所への啓発活動 ・受入料金の見直しの検討 ・資源ごみ受入料金の無料化等による資源化の推進 ・直接搬入ごみ(粗大ごみ等)の料金の見直し |
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資源ごみ分別の徹底 |
・小型家電の分別収集形態を検討する。 ・資源ごみの分別基準を組合及び関係町村で再商品化計画を策定し、新たな再商品化事業者を選定して、プラスチック資源の分別区分の新設を検討する。 |
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し尿処理施設の更新 |
・し尿処理施設を汚泥再生処理センターとして更新し、し尿、浄化槽汚泥等の適正処理の継続を図るとともに、汚泥の助燃剤化を行い、汚泥の資源化有効利用を進める。 |
・燃料使用量の削減 |
6進捗管理体制と進捗状況の公表
(1) 推進体制
組合事務事業編を推進するため、政策会議において取組みを進め、政策会議出席者を「地球温暖化対策推進責任者」(以下「推進責任者」という。)とし、取組を着実に推進します。
(2) 点検/評価・見直し体制
組合事務事業編は、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の4段階を繰り返すことによって点検/評価・見直しを行います。また、毎年の取組に対するPDCAを繰り返すとともに、組合事務事業編の見直しに向けたPDCAを推進します。
(A)毎年のPDCA
組合事務事業編の進捗状況は、推進責任者が事務局に対して定期的に報告を行います。事務局はその結果を整理して政策会議に報告します。政策会議への報告は毎年1回進捗状況の点検・評価を行い、次年度の取組の方針を決定します。
(B)見直し予定時期までの期間内におけるPDCA
政策会議では、毎年1回進捗状況を確認・評価し、見直し改定要否の検討を行い、必要がある場合には、組合事務事業編の改定を行います。
(3) 進捗状況の公表
組合事務事業編の進捗状況は、組合のホームページ等で毎年公表します。
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