○一般服務等に関する職員の懲戒処分基準

平成30年3月30日

訓令第4号

第1 基本事項

本基準は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な懲戒処分の種類を掲げたものである。

具体的な処分量定の決定に当たっては、

① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか

② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか

③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか

④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか

⑤ 過去に非違行為を行っているか

等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等を含め総合的に考慮の上判断するものとする。個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得るところである。例えば、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、

① 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき

② 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき

③ 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき

④ 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき

⑤ 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき

がある。また、例えば、標準例に掲げる処分の種類よりも軽いものとすることが考えられる場合として、

① 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき

② 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき

がある。

なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。

第2 標準例

1 一般服務関係

(1) 欠勤

ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。

イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。

ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。

(2) 遅刻・早退

勤務の時間の初め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。

(3) 休暇の虚偽申請

病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。

(4) 勤務態度不良

勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

(5) 職場内秩序を乱す行為

ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。

イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。

(6) 虚偽報告

事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。

(7) 違法な職員団体活動

ア 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争奪行為をなし、又は本組合の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。

イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員は、免職又は停職とする。

(8) 秘密漏えい

ア 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。この場合において、自己の不正な利益を図る目的で秘密を漏らした職員は、免職とする。

イ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。

(9) 政治的目的を有する文書の配布

政治的目的を有する文書を配布した職員は、戒告とする。

(10) 兼業の承認等を得る手続のけ怠

営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。

(11) 入札談合等に関与する行為

組合が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合をそそのかすこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、免職又は停職とする。

(12) 個人の秘密情報の目的外収集

その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。

(13) 公文書の不適正な取扱い

ア 公文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の公文書を作成し、又は公文書を毀棄した職員は、免職又は停職とする。

イ 決裁文書を改ざんした職員は、免職又は停職とする。

ウ 公文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。

(14) 汚職

職権濫用、収賄等汚職の罪を犯した場合は、免職又は停職とする。

(15) 税及び公共料金等の滞納

特別な事情がないにも関わらず、税又は公共料金等を長期に渡り滞納した場合は戒告とする。

(16) 職場におけるハラスメント

本人の意図にかかわらず、職場におけるハラスメントが確認された職員は、具体的な行為の状況、悪質性の程度などに応じて、免職、停職、減給又は戒告とする。

なお、職場におけるハラスメントとは、パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、モラル・ハラスメント、マタニティ・ハラスメントなどであり、職場には、職場の懇親会や親睦会などの勤務時間外の場も含む。

・パワー・ハラスメント

職務上の地位や人間関係等の職場内の優位性を背景に、職務の適正な範囲を超えて、継続的に行われる人格、尊厳等を侵害する言動、行動等により、職員に就労意欲を低下させ、又は、不利益を与え、労働環境を悪化させること。

・セクシュアル・ハラスメント

職員の意に反する性的な言動、行動等により、当該職員に不快感、不利益等を与え、労働環境を悪化させること。

・モラル・ハラスメント

言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、労働環境を悪化させること。

・マタニティ・ハラスメント

職員に妊娠、出産、育児休業等を理由として、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家庭介護を行う労働者の福祉に関する法律に違反する不利益等を与えることや、人格や尊厳等を侵害する言動、行動等により、当該職員に不快感を与え、労働環境を悪化させること。

(注) 処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。

2 公金物品取扱い関係

(1) 横領

公金又は物品を横領した職員は、免職とする。

(2) 窃取

公金又は物品を窃取した職員は、免職とする。

(3) 詐取

人を欺いて公金又は物品を交付させた職員は、免職とする。

(4) 紛失

公金又は物品を紛失した職員は、戒告とする。

(5) 盗難

重大な過失により公金又は物品の盗難にあった職員は、戒告とする。

(6) 物品損壊

故意に職場において物品を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

(7) 失火

過失により職場において物品の出火を引き起こした職員は、戒告とする。

(8) 諸給与の違法支払・不適正受給

故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。

(9) 公金物品処理不適性

自己保管中の公金の流用等公金又は物品の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。

(10) コンピュータの不適正利用関係

ア 職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

イ 他人のパスワードを使用し、又はコンピュータ・システムにおける安全上の不備を利用して不正にネットワークにアクセスし、システム又は情報資産等の破壊若しくは改ざんを行い、又は情報を漏洩させた場合は、免職又は停職とする。

ウ 他人のパスワードを使用し、又はコンピュータ・システムにおける安全上の不備を利用して不正にネットワークにアクセスした場合は、停職又は減給とする。

エ ネットワーク管理者又はパスワードを付与されている利用権者のパスワードを第三者に提供した場合は、停職又は減給とする。

オ 故意にウイルス又は不正なプログラム等を利用して、システム又は情報資産等を損壊させた場合は、免職又は停職とする。

カ 故意にウイルス又は不正なプログラム等を利用して、ネットワークの適正な運用を妨げた場合は、停職又は減給とする。

3 公務外非行関係

(1) 放火

放火をした職員は、免職とする。

(2) 殺人

人を殺した職員は、免職とする。

(3) 傷害

人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。

(4) 暴行・けんか

暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。

(5) 器物損壊

故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

(6) 横領

ア 自己の占有する他人の物を横領した職員は、免職又は停職とする。

イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員は、減給又は戒告とする。

(7) 窃盗・強盗

ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。

イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。

(8) 住居等侵入

正当な理由なく、人の住居等に侵入した職員は、停職又は減給とする。

(9) 詐欺・恐喝

人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。

(10) 賭博

ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。

イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。

(11) 麻薬等の所持等

麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラック等の所持、使用、譲渡等をした職員は、免職とする。

(12) 酩酊による粗野な言動等

酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動、行動等をした職員は、減給又は戒告とする。

(13) 淫行

18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。

(14) 強姦・強制わいせつ行為

人の意に反して性的自由を侵害する行為のうち、脅迫や暴行等を用いて強姦・強制わいせつなどの行為をした職員は、免職又は停職とする。

(15) 痴漢行為

公共の場所又は乗物において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。

(16) 盗撮行為

公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員は、停職又は減給とする。

(17) ストーカー行為

特定の人又はその家族などに対して、つきまとい・待ち伏せ等のストーカー行為をした職員は、免職、停職又は減給とする。

4 監督責任関係

(1) 指導監督不適正

部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適性を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。

(2) 非行の隠ぺい、黙認

部下職員の非違行為を知り得たにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。

(3) 非違行為の教唆又は幇助

非違行為をした職員に対し、当該非違行為に係る事項を教唆し、又は当該非違行為を幇助したと認められる場合は、免職、停職又は減給とする。

第3 懲戒処分等の種類

懲戒処分等の種類は、次のとおりとする。

1 懲戒処分

法第29条の規定により職員の非違行為に対し、任命権者が辞令及び処分説明書により行う次の処分を懲戒処分とする。

(1) 免職 職員としての身分を失わせる処分

(2) 停職 身分を確保したまま、1日以上12月以下の間、職務に従事させない処分

(3) 減給 1日以上12月以下の間、給料の月額の10分の1以下に相当する額を給与から減ずる処分

(4) 戒告 非違行為の責任を確認させ、その将来を戒める処分

2 指導上の措置

法第29条の規定による懲戒処分には該当しないが、自己の行為に対しての責任や管理監督責任を自覚させ、将来を戒めて、職務遂行に対する姿勢の改善、意識向上等を目的として行う文書又は口頭による次の処分を指導上の措置とする。

(1) 訓告 懲戒処分には至らないが非違行為に対して文書により行う指導上の措置

(2) 厳重注意 訓告よりも軽微な非違行為に対して文書又は口頭により行う指導上の措置

第4 懲戒処分の公表等

懲戒処分を行った場合の公表については、次のように取り扱う。

1 社会通念上重大な事案と判断した懲戒処分を行った場合は、適宜公表するものとする。

2 公表の内容は、懲戒処分をした事実の概要、所属、職氏名、年齢、処分時期とする。

この基準は、平成30年4月1日から施行する。

(平成31年訓令第1号)

この訓令は、平成31年4月1日から施行する。

黒川地域行政事務組合 懲戒処分量定一覧

事由

処分量定

免職

停職

減給

戒告

1 一般服務関係

(1) 欠勤












ア 10日以内



イ 11日以上20日以内



ウ 21日以上



(2) 遅刻・早退



(3) 休暇の虚偽申請



(4) 勤務態度不良



(5) 職場内秩序を乱す行為












ア 暴行



イ 暴言



(6) 虚偽報告



(7) 違法な職員団体活動












ア 単純参加



イ あおり・そそのかし



(8) 秘密漏えい












ア 故意の秘密漏えい










自己の不正な利益を図る目的




イ 情報セキュリティ対策のけ怠による秘密漏えい


(9) 政治的目的を有する文書の配布




(10) 兼業の承認等を得る手続のけ怠



(11) 入札談合等に関与する行為



(12) 個人の秘密情報の目的外収集



(13) 公文書の不適正な取扱い












ア 偽造・変造・虚偽公文書作成、毀棄



イ 決裁文書の改ざん



ウ 公文書の改ざん・紛失・誤廃棄等


(14) 汚職



(15) 税及び公共料金等の滞納




(16) 職場におけるハラスメント

2 公金物品取扱い関係

(1) 横領




(2) 窃盗




(3) 詐取




(4) 紛失




(5) 盗難




(6) 物品損壊



(7) 失火




(8) 諸給与の違法支払・不適正受給



(9) 公金物品処理不適性



(10) コンピュータの不適正利用関係

3 公務外非行関係

(1) 放火




(2) 殺人




(3) 傷害



(4) 暴行・けんか



(5) 器物損壊



(6) 横領












ア 横領



イ 遺失物等横領



(7) 窃盗・強盗












ア 窃盗




イ 強盗




(8) 住居等侵入



(9) 詐欺・恐喝



(10) 賭博












ア 賭博



イ 常習賭博




(11) 麻薬等の所持等




(12) 酩酊による粗野な言動等



(13) 淫行



(14) 強姦・強制わいせつ行為



(15) 痴漢行為



(16) 盗撮行為



(17) ストーカー行為


4 監督責任

(1) 指導監督不適正



(2) 非行の隠ぺい、黙認



(3) 非違行為の教唆又は幇助


一般服務等に関する職員の懲戒処分基準

平成30年3月30日 訓令第4号

(平成31年4月1日施行)

体系情報
第4編 事/第2章 分限・懲戒
沿革情報
平成30年3月30日 訓令第4号
平成31年2月21日 訓令第1号